病んでる僕と最強の勇者たち

「おい、ダーギル！

どこにいやがる！

姿を現せ！」



ダーギルの黒い触手を斬り落としたブライアンは、剣を構え、ダーギルを警戒しながらそう叫んだ。



するとフロアー中にまた不気味な笑い声が響き渡り、ブライアンが斬り落とした黒い触手が再び動き出した。



そしてその黒い触手は蛇のように床を這いつくばって不気味に動き、一ヶ所へと集まっていた。



(いったい何が起きているんだ？

どうして黒い触手がひとりでに動いているんだろう？

嫌な予感がする……。

僕たちに危機が訪れそうな、そんな予感が……)



フロアー中から黒い影のようなものが集まってきて、それが大きな黒い影を形成し、僕たちの前に輪郭が曖昧な体のようなものを作り出した。



そしてその影のモンスターには、小さな頭や短い腕はあったが足はなく、宙に浮いたまま体長二メートルほどの完成形に至り、小さな頭に黄色い二つの目だけが現れた。



「私の名は、闇の魔王、ダーギル。

ベルミータ国を闇に包んだ魔法使いだ。

ここまで来れた貴様らを、この私が褒めてやろう」



ダーギルはそう言うと、曖昧な黒い影のような実態を左右に揺らしながら空を飛んだ。



「だが、ここに来たのが貴様らの運の尽きだ。

私は貴様らを殺して、ベルミータ国のヤツらにさらに深い絶望を与えてやるんだ。

そしてベルミータ国を黒一色の闇に変える。

それが私の望む未来だ」



僕はこの影のモンスター、ダーギルから禍々しい黒いオーラを感じていた。



その禍々しい黒いオーラは、このフロアー中を埋めつくし、僕はその禍々しい黒いオーラに息が詰まった。



でもそのとき、ブライアンが僕たちの先頭に立って、自信たっぷりにこう言い放った。



「闇の魔王、ダーギルが、どんなヤツかと思えば、ただの影のモンスターかよ。

オレから言わせれば、ラスボスの威厳を感じねぇ。

このオレがお前を斬ってやる！」



ブライアンがそう言うと、ダーギルは不気味に笑い、そのつり上がった黄色い目でブライアンをにらんでいた。