病んでる僕と最強の勇者たち
ダーギル VS ブライアン
光のような速さでダーギルの分身に踏み込んでいったブライアンの高速の剣が、ダーギルの分身を斬り裂いた。



そしてその電光石火の早業は止まることなく、ブライアンは次々とダーギルの分身を斬っていった。



ダーギルの分身は雷系の魔法を使ってきたが、高速で動きまわるブライアンを雷系の魔法で捉えることはできない。



僕はそんなブライアンの戦いを見て、ブライアンは無敵なのかと本気で思った。



ラスボスであるはずのダーギルを少しも寄せつけないその強さは、僕が憧れていた無双の強さだ。



もしも自分が無敵だったら……。



子供の頃に想像していた夢を、僕は今、間近で見ていた。



ダーギルの分身たちはブライアンの速さについていけず、ブライアンはお城の最上階のフロアーで躍動し、その戦いを見ている者たちの心を奪いながら、自分の強さを周りの者たちに見せつけていた。



(僕はブライアンになりたい)



ブライアンの凄まじい戦いぶりを見ながら僕は思った。



(ブライアンみたいな無敵の強さを身につけたなら、世界はどんな風に見えるのだろう?

僕はブライアンになって、それを確かめたい。

僕は生涯、ブライアンのこの戦いを忘れない。

世の中には次元の違う強さが存在する。

ブライアンはすごい……。

本当にすごいんだ……)



僕はブライアンの戦いぶりに感動して、思わずその場で泣いていた。



僕はブライアンと対等の仲間だと思っていた。



でも、ブライアンの強さは次元が違う。



これが最強の勇者と言われる人の戦いなんだ。
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