病んでる僕と最強の勇者たち
「おらぁぁぁぁ!

いけぇぇぇぇ!」



ブライアンの快進撃は止まらず、ブライアンは雄叫びを上げながら、ダーギルの分身を次々と斬っていった。



そしてあれほどいたダーギルの分身がいつの間にか、残り数体になり、僕がブライアンの圧倒的な勝利を予測し始めたとき、ダーギルの不気味な声がブライアンの動きを止めた。



「そこまでだ、ブライアン!

今すぐ剣を捨てろ!

さもなくば、ルキア姫の命はないぞ!」



ブライアンの強さばかりが目につく戦いの中で、誰もがリキア姫を人質に取られる可能性を忘れていた。



ダーギルの分身のうちの一体は、柱に縛りつけられているルキア姫のすぐとなりに立ち、いつでもルキア姫を殺せると言わんばかりに、ルキア姫の体をなでまわしていた。



僕はダーギルのその汚い戦い方に、燃えたぎるような怒りを感じた。



僕たちはダーギルの一対一の勝負という言葉を信じて、ブライアンとダーギルの戦いを見守っていた。



それなのにダーギルは、初めから約束を守るつもりなんて少しもなかったのだった。



「おい、ダーギル!」



ブライアンは身体中から込み上げてくる怒りの中で、ルキア姫の近くにいるダーギルの分身をにらみつけた。



「ルキア姫はオレたちの戦いに関係ねぇだろ?

オレとお前の一対一の真剣勝負に他の人を巻き込むな!

それが一対一の真剣勝負ってものじゃないのか、ダーギル!」



ブライアンは僕たちが思っていたことをダーギルに向かって叫んでいた。



でもダーギルは、ブライアンの言葉に少しも従おうとはしなかった。
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