病んでる僕と最強の勇者たち
「あのう、大丈夫ですか?」



僕がその貴族風の若い女性に話しかけたとき、その貴族風の若い女性は泣いていた。



まぁ、無理もない話だ。



彼女は荒くれ者の盗賊に大切な指輪を盗まれたのだから。



僕がその貴族風の若い女性を心配して見ていると、その女性は僕の存在に気づいて、僕に泣きながらこう言ってきた。



「ああ、賢者様。

お願いします。

どうか私の大切な指輪を盗賊から奪い返して下さい。

あの指輪は母からもらった大切な指輪で……」



「えっ、僕が?」



僕は貴族風の若い女性の願いを聞いたあと、反射的にそう答えていた。



僕なんかにそんなことができるだろうかと思いながら……。
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