病んでる僕と最強の勇者たち
「おのれ、こざかしいマネを!」



僕のビッグメラメラをまともにくらったダーギルが、ほぼノーダメージで僕の炎を消し去った。



そして怒りに満ちた顔つきのダーギルを見たとき、僕の体が一瞬、すくんだ。



ダーギルは本当に強い。



まるで無敵とも言えるくらいに……。



でも、リリーはそんなダーギルに少しも怯まず立ち向かい、ダーギルに向かって魔法を唱えた。



「時の神よ。

ダーギルの時間を奪いたまえ!

時の魔法、タイムストップ!」



僕たちの運命が左右されるリリーの魔法がついに解き放たれた。



リリーの魔法がダーギルの時間を奪えたら、僕たちの作戦が現実味を帯びてくる。



リリーの魔法の杖から飛び出していった白いオーラは、ダーギルに高速で迫っていき、ダーギルの周りを一瞬で取り囲んだ。



その瞬間、ダーギルの邪悪なオーラがお城の最上階のフロアーから消え去った。



リリーの魔法がダーギルの時間を奪ったのだ。



リリーの魔法がダーギルの時間を奪っていられるのは、一秒か二秒か、それともわずかコンマ数秒なのか、僕には少しもわからなかった。



でも、ダーギルの時間が止まり、ダーギルに隙ができた一瞬に、マギーは剣を上段に振り上げ、ダーギルに向かって飛びかかっていた。



僕たちはそんなマギーを見つめ、マギーの重殺剣に期待を寄せていた。



「くらえ!

一撃必殺、重殺剣!」



マギーのすべてを込めた渾身の一撃が、ついにダーギルにクリンヒットした。



そして、マギーの剣がダーギルの体を縦に斬り裂いていく。



僕はその決定的な瞬間を息をするのも忘れて、じっと見つめていた。
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