病んでる僕と最強の勇者たち

(僕は賢者だから剣と魔法の両方を使える。

でも、僕にできる魔法って、いったい何だろう？)



僕は賢者が使える魔法を頭の中に思い浮かべた。



火系の魔法、水系の魔法、風系の魔法、爆発系魔法、稲妻系の魔法、回復系の魔法……。



僕が本当にLV99の最強賢者ならば、これらの魔法が最高のレベルで使えるはずだった。



僕はアニメの主人公にでもなった気持ちで、魔法を放つために右手に意識を集中していた。



(僕は最強の賢者……。

僕にはできる！

最高の火系の魔法が！)



僕は右手に魔力がたまっているイメージを持ちながら、その魔力を一気に放出した。



「おらぁぁぁ！

火系の魔法！

でぇやぁぁぁ！」



僕は気合いを入れて、本気で魔法を唱えたつもりだったが、僕の右手から炎どころか、煙すらも出てこなかった。



(魔法って、どうやって使うんだ？)



それは僕がこの異世界で初めてぶち当たった大きな壁のようなものだった。