病んでる僕と最強の勇者たち
「やったな、明彦。

明彦の魔法でダーギルを倒したぜ!」



ブライアンは笑いながらそう言うと、ちょっとカッコつけながら、僕に親指を立てて見せた。



「明彦君の魔法がダーギルを倒したよ。

明彦君はこれで、ベルミータ国の英雄だね」



リリーはそう言うと、三角帽を被ったかわいらしい顔で小首を傾げ、うれしそうに笑っていた。



「見事な魔法だった、明彦。

ダーギルの隙を見逃さずに放ったあの魔法がベルミータ国を救ったんだ」



マギーはいつのように真顔で、真剣に僕の魔法を褒めてくれていた。



僕は大切な最高の仲間たちに囲まれて、今までの人生の中で最高のときを迎えていた。



僕は今いる最強の仲間たちの中で、能力的には一番劣っていた。



でも、僕の仲間たちはそんなことは関係なしに、僕の活躍を自分のことのようによろこんでくれていた。



それはきっと、僕がずっと憧れていた夢の世界だ。



絶対に僕の空想の中にしかないと思っていた夢の世界。



僕はそんな夢の世界の中心にいて、夢の世界の主役になれていた。



僕は大切な仲間たちと共に笑い、今まで感じたことのない最高の幸せを感じていた。
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