病んでる僕と最強の勇者たち
「あっ、ルキア姫がこっちに来るよ。

ルキア姫もリリーたちと一緒にベルミータ国の幸せをよろこびたいんだよ」



リリーのその言葉で、みんなが僕たちの方へと走ってくるルキア姫に目を向けた。



ベルミータ国の宝石と呼ばれているほどの美しいルキア姫は、表情によろこびをにじませながら、僕たちに走ってきている。



そんなルキア姫を見て、ブライアンが僕たちの一歩前に出ると、ちょっとカッコつけながらルキア姫に話しかけていた。



「おお、美しきルキア姫。

この最強の勇者、ブライアン・シェリーが闇の魔王、ダーギルを退治しました。

ルキア姫、この勝利を共によろこびましょう!」



ルキア姫はそう言ったブライアンの脇を通り抜け、僕の前で立ち止まると、僕の顔を見つめて話しかけてきた。



「賢者様、ありがとうございます。

賢者様の魔法でダーギルはこの世から消え去りました。

これでまたベルミータ国に平和が戻ります。

本当に、本当に、ありがとうございます!」



僕はそう言った美しいルキア姫を見つめ、戸惑いながら言葉を返した。



「ルキア姫……。

僕の手柄って、最後の一撃だけで……。

本当にすごいのは、ここにいる僕の仲間たちで……」



僕がルキア姫に見つめられていることに戸惑いながら、しどろもどろにそう言ったとき、ルキア姫は最高の笑みを浮かべて僕のほっぺにキスをしてきた。



僕は生まれて初めての大人の経験に顔が赤くなって、何も言葉を言えなかった。
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