病んでる僕と最強の勇者たち
(魔法が使えない賢者なんて……。

これじゃ、異世界に来ても落ちこぼれじゃないか……)



僕の頭の中に最悪の思いがよぎり、僕はその最悪の路線だけは避けようと心に誓った。



なぜなら僕はLV99の最強賢者。



僕に魔法が使えないはずはない。



僕は足早にその場から移動し、人目のない場所を見つけると、そこで魔法の練習をすることに決めた。



(僕には元々、自信なんて一ミリもない……。

でも、僕は変わらなくちゃ。

異世界転生した僕は最強の賢者なんだ！)



僕は何度も魔法を解き放つイメージで右手に意識を集中していた。



だけど、僕の右手からは炎どころか煙すら出てこない。



それでも僕は何度も繰り返した。



この異世界で魔法を手に入れるために。



僕が最強の賢者であるために。



そして僕が魔法の練習を始めておよそ十分、初めて僕の右手から、小さな炎が飛び出した。
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