病んでる僕と最強の勇者たち
(おのれ、盗賊め。

僕はお前に言ってやったぞ。

僕は最強の賢者だからな)



僕は自分に言い聞かせるかのように、心の中でそうつぶやいた。



元々、一ミリも自信のない僕は、心の中で虚勢を張っていないと、まともに敵とも向き合えない。



でも、僕が着ているこの賢者のローブを見たならば、この盗賊だって僕が賢者だと気づいて、僕との戦いを避けるはずだ。



そしたら、あの指輪を返してもらおう。



これでこの件は片がつく。



僕がそう思って、盗賊の大きな背中をにらんでいると、ひげ面のその盗賊はゆっくり振り返り、僕をにらみ返してきた。



「おい、チビ助。

このオレ様に何か言ったか?」



僕はひげ面の盗賊の予想外の言葉に震え上がった。



このお方は、賢者の僕にビビっていない。



こんな展開は初めてだ。
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