病んでる僕と最強の勇者たち
ひげ面の盗賊は賢者である僕に恐れをなすどころか、ゆっくりと僕に近づいてきていた。



そしてひげ面の盗賊は僕との戦いを避けようとはせずに、腰にぶら下げていたこん棒を右手でしっかりと握りしめた。



僕は戦う気が満々のひげ面の盗賊に慌てながら、戦いを回避するため、そのひげ面の盗賊に話しかけていた。



「あのう、盗賊さん。

無理に僕と戦わなくても良いんですよ。

僕はあなたが奪っていった指輪を返してもらえれば良いわけで……」



まるで僕の言葉が聞こえていないかのように、ひげ面の盗賊は僕にゆっくりと近づいてきていた。



僕はその緊迫のシーンにビビりながら言葉を続けた。



「盗賊さんは僕のことを良くわかっていないようなので、僕から自己紹介させてもらいますね。

僕の名前は但野明彦。

職業は上級職の賢者で、しかもレベルは99!

ステータスも最高です。

こんな僕と戦っちゃいけませんよ。

盗賊は賢者には勝てないわけで……」



「うるせぇ、クソガキ!」



ひげ面の盗賊はそう言って怒鳴ると、手にしたこん棒を軽々と振り回し、僕に襲いかかってきた。



僕はひげ面の盗賊のその攻撃を間一髪でかわしていた。
< 29 / 239 >

この作品をシェア

pagetop