病んでる僕と最強の勇者たち
「僕はLV99の最強の賢者……。

僕はお前なんかに絶対に負けない!」



僕は自分よりも遥かに大きいジャイアントタイガーに向かって叫んでいた。



本当なら僕は、こんなに恐ろしい敵に立ち向かえるほど強くない。



でも、仲間たちが僕の勝利を信じてくれるから、僕はこの強敵と戦いたい。



僕はそんなことを思いながら細身の剣を握りしめ、ジャイアントタイガーに向かって走り出した。



(元の世界にいたとき、僕には仲間なんていなかった。

そんな僕には、励ましてくれる人もいなければ、期待してくれる人もいなかった。

僕は友達なんかいらないって思ってたけど、本当は心の中で憧れていたんだ。

仲間に囲まれて笑っているそんな人たちを……。

僕はもうヘタレの明彦じゃない。

最強の賢者、但野明彦だ!)



僕は剣を振り上げ、ジャイアントタイガーに斬りかかったが、僕の体はまたジャイアントタイガーの右前足に吹き飛ばされた。



僕の体はジャイアントタイガーのパワーによって、まるでゴムボールのように弾け飛んでいく。



吹き飛ばされた僕の体は森の木の幹にぶつかって、そのとき背中を強打した。



僕は背中を強打したせいで、息が詰まってむせかえったが、それでも致命傷は受けていなかった。



僕は異世界転生して、人並み外れた耐久力を身につけていることを感じていた。



それなら、上手く攻撃に転じることさえできれば勝機はある。



異世界転生を果たした僕は、この異世界の物語の主役なんだ。



僕は自分にそう言い聞かせていた。
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