病んでる僕と最強の勇者たち
(勝った……。

僕があのジャイアントタイガーに……)



それはヘタレな僕が、最強の賢者に変われたと確信できた瞬間だった。



元々、僕は自分のことが嫌いだ。



勉強でもスポーツでも、ヘタレな僕はいつもみんなに負けていた。



僕はそんな自分が嫌いだから、傷つくのが怖くて、誰とも話をしたくなかった。



じっと心を閉ざし、誰とも関わらず、自分が大切にしている小さな世界を、僕は必死に守っていた。



そんな僕の理想の世界は現実にはなくて、いつも二次元の世界にだけ存在していた。



僕はアニメが好きで、アニメのキャラクターたちが大好きだった。



僕が住むべき世界は、このアニメの世界観の中に存在していると、僕は本気で信じていた。



そして今、僕の目の前に、僕が求めていた理想の世界がある。



僕は勝利の歓喜に浸りながら、大切な仲間たちに目を向けた。



「勝ったよ………。

僕はジャイアントタイガーに勝ったよ!」



僕がそう叫んだ次の瞬間、ブライアンが真顔で僕の顔を見つめ、必死にこう叫んでいた。



「油断するな、明彦。

敵はまだ生きている!」
< 77 / 239 >

この作品をシェア

pagetop