病んでる僕と最強の勇者たち
僕はブライアンのその言葉に慌て後ろを振り返った。



すると、倒したと思っていたジャイアントタイガーが、炎に包まれながら、僕の方へと迫っていた。



そして、まだ戦う意思が少しも衰えていないジャイアントタイガーはもう次の攻撃体勢に入っていて、僕は無防備なままに、ただ呆然とその様子を見ていた。



死の恐怖に硬直した僕の体は、咄嗟には動いてくれない。



僕が何もできずに立ち尽くしているとき、ジャイアントタイガーの渾身の一撃が僕の頭へと襲いかかってきていた。



(油断した……)



強い後悔の念が、僕の心を覆い尽くした。



(どうして僕はいつもこうなんだろう?

勝てる勝負なのに……。

勝てたはずの勝負なのに……)



僕がジャイアントタイガーの渾身の一撃をくらうことを覚悟したとき、僕のとなりを光のような速さでブライアンが駆け抜けた。



そしてブライアンは炎に包まれたジャイアントタイガーに向かってジャンプし、手にした剣でジャイアントタイガーの首をバッサリと斬り落とした。



すると次の瞬間、ジャイアントタイガーの巨体がゆっくりと西の方へと傾いていき、大地を揺らす衝撃と共に首のないジャイアントタイガーの巨体がついに倒れた。



僕は九死に一生を得ると、その場にヘナヘナと座り込み、脱力していた。



やっぱり僕には大切な何かが足りない。



そんなことを思いながら……。
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