病んでる僕と最強の勇者たち
「ねぇ、ブライアン。

そんなに暗い顔して、どうしたの?」



僕がブライアンに話しかけると、ブライアンは苦笑いを浮かべてこう答えた。



「明彦、オレさ。

本当に最強の勇者なのに、信じてもらえないんだぜ。

オレって知名度低いよな。

結構、活躍してきたのに……」



(ブライアンがガチで落ち込んでる……。

いったい、どうすれば……)



「めっちゃ有名になって、女の子にモテまくるのがオレの夢なのに、現実はなかなか厳しいぜ」



最強の勇者の夢って、結構、庶民的だなぁと思いながら、僕がブライアンに話しかける言葉を探していると、リリーが僕らに近づいてきて、ブライアンの心のキズを攻めてきた。



「ブライアンのカッコつけが落ち込んでる!

勇者なのに知名度なくて落ち込んでる!」



「うっせぇな。

リリーには関係ないだろ」



みんなが複雑な心境の中でも、マギーだけはいつも冷静だった。



「下らない感情に振り回されている場合ではない。

私たちは護衛隊長について行こう。

シェーラ姫に会わなくては」



マギーは女剣士だけど、本当に男らしいくらいサバサバした性格の持ち主だ。



そんなマギーが真顔で足早に歩くと、大きな胸が上下に揺れるのを、僕は決して見逃さなかった。



マギーって、本当にすごいなぁと思いながら。
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