病んでる僕と最強の勇者たち
「あのう、シェーラさん。

僕にはたぶん仲間になってくれるはずの人たちがいると思うんだけど、シェーラさんは知ってるかなぁ?」



僕はフローラの言葉を思い出しながら、シェーラにそう言った。



僕には仲間になってくれるはずの最強の勇者たちがいるはずだから……。



「賢者様のおっしゃる通りです。

ベルミータ国から西に200キロの場所に出会いの街と呼ばれている場所があります。

そこには最強の勇者と魔法使いと剣士がいて、賢者様の仲間になってくれると言っておりました。

この最強のパーティならば、きっと闇の魔王、ダーギルを倒すことができるはずです。

そうすれば、姉のルエラを助け出し、ベルミータ国に光を取り戻すことだって……」



僕はそう言ったシェーラの言葉を聞きながら、まだ見ぬ仲間たちを想像していた。



最強の勇者、魔法使い、そして剣士。



まるで僕のオタク心を熱く刺激してくる夢のパーティのできあがりだ。



この最強の仲間たちがいるなら、きっと闇の魔王も倒せるだろう。



たとえ僕がヘタレだとしても……。



「シェーラさん、僕が闇の魔王を倒して、シェーラさんのお姉さんを救ってみせる。

そしてこのベルミータ国に日の光を取り戻すよ」



僕はアニメの主人公にでもなったつもりで、美しい姫のシェーラにそう言った。



すると、シェーラは僕に顔を近づけて、目を潤ませながらこう言った。



「ありがとうございます、賢者様。

ベルミータ国の国民は賢者様のその勇気を決して忘れることはないでしょう」



僕はそう言ったシェーラのかわいらしさに、思わずドキドキしていた。



アニメの冒険者たちはきっとこんな風にして姫と恋に落ちるのだろう。



そんなことを思いながら……。
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