ゾーイ・テイラー〜温もり、のちにキス〜
森の上にロネがやって来ると、地面に黒いフードをかぶった人物が何人も倒れていた。ロネとゾーイを襲おうとした魔族たちだ。
「ゾーイとラックスは!?」
ロネは上空からひとまず二人の姿を探す。すると、手をつないで走っているゾーイとラックスを見つけた。二人を魔族が数人追いかけている。
「このままだと二人が!!」
ロネは急降下し、魔族とゾーイの間に降り立った。突然現れたロネの姿に魔族たちが驚く。
「ロネ!」
ゾーイが安心したような顔を見せる。ロネは「遅くなってごめんね」と微笑んだ。
「お兄ちゃん……!!」
ラックスの顔は涙でぐしゃぐしゃだ。ロネは二人を守らなければと魔族たちを見つめる。しかし、その隣にゾーイが「待って」と言い立った。
「私も戦う。ラックスのことは私も守りたい」
「でも!!」
ロネがそう言いラックスを見つめると、ラックスは木の影に隠れていた。ゾーイが指示したのだろう。