ゾーイ・テイラー〜温もり、のちにキス〜



森の上にロネがやって来ると、地面に黒いフードをかぶった人物が何人も倒れていた。ロネとゾーイを襲おうとした魔族たちだ。

「ゾーイとラックスは!?」

ロネは上空からひとまず二人の姿を探す。すると、手をつないで走っているゾーイとラックスを見つけた。二人を魔族が数人追いかけている。

「このままだと二人が!!」

ロネは急降下し、魔族とゾーイの間に降り立った。突然現れたロネの姿に魔族たちが驚く。

「ロネ!」

ゾーイが安心したような顔を見せる。ロネは「遅くなってごめんね」と微笑んだ。

「お兄ちゃん……!!」

ラックスの顔は涙でぐしゃぐしゃだ。ロネは二人を守らなければと魔族たちを見つめる。しかし、その隣にゾーイが「待って」と言い立った。

「私も戦う。ラックスのことは私も守りたい」

「でも!!」

ロネがそう言いラックスを見つめると、ラックスは木の影に隠れていた。ゾーイが指示したのだろう。
< 26 / 32 >

この作品をシェア

pagetop