ゾーイ・テイラー〜温もり、のちにキス〜

ロネはラックスに目線を合わせ、クマのぬいぐるみを取り出す。ラックスの目が一瞬にして輝いた。

「わあ〜！！可愛い！！」

ラックスはクマのぬいぐるみを愛おしげに抱き締める。ロネがそれを微笑ましく見ていると、ギュッと背後から抱き締められた。

「ゾーイ、どうしたの？」

「ラックスにぬいぐるみを買いに行くなら私も一緒に行きたかった……」

どこか拗ねたようにゾーイは言う。ロネは苦笑してしまった。本当の目的はぬいぐるみを買うことではなかったのだ。

「ゾーイ、今度は三人で行こうよ。ごめんね」

ロネがそう言うとゾーイはロネから離れる。しかし、その顔はまだ納得していない様子だった。ロネは言ってしまおうと覚悟を決める。

ゾーイは過去から解放され、ロネと旅をするようになってから多くの感情が出されるようになっていた。出会った頃とはもう全く違う。新しい人生をもう歩んでいるのだ。ゾーイの人生の一部にロネもなりたいと願う。