飴玉ひとつ、メロウ味
3.メロウ味の飴
はぁ......、気が重い。
会いたいけれど、会いたくない。
行きたくないけれど、約束なので行くしか無かった。
重い足取りで向かった先は、いつもの空き教室。
ドアを開けると、今、1番会いたくない人が既に待っていた。
「遅かったな」
私は今から、この男に負けを告げられるんだ。
好きになってしまったのはもう後戻りできない。
勝てたらーー、私の手で飴を食べさせられたらーー。
思いが届くのに......。
だけど、飴は手に入らない。
どうすれば......。
「凛、勝負は俺の勝ちだな」
あぁ、終わったーー。
聞こえてきた拓海の声は、ハッキリと私の負けを口にした。
飴は、貰えないのか......。
でも、勝負は勝負。認めるしかない。
私は、拓海が誰に飴を食べさせるつもりなのか、気が気ではなかった。
1週間あったはずの勝負はたったの3日間で終わったーー。