飴玉ひとつ、メロウ味
1.恋の飴玉
私は現在、ある男を目の前にして固まっているーー。
その、男の手にあるものから目が離せなかった。
ーー虹色の飴玉。
ーー恋が叶う飴玉。
ずっと探し続けていた物が、今目の前にある。
「俺と勝負して。俺が勝ったら、キミは俺のもの。負けたらーーコレをあげる」
名前も知らない、見ず知らずの人。
なんで、そんな人が、私の一番求めている物を持っているのだろう。
「どうして......それをーー」
「それは、秘密。でも、キミが1番欲しいものだよね?片桐 凛さん?」
まるで、私の事なんてなんでも知っていると言うような口ぶりだ。
私は、この男の名前すら知らないのに、なぜ私の事を知っているのだろう。
「あ、あなたは誰?名前は?」
怪しすぎるこの男に、そう聞かずには居られない。
「俺は、瀬戸 拓海。ちなみに同い年」
同じクラスの人以外はあまり関わりがないので、知らないのも無理はない。