飴玉ひとつ、メロウ味
だけど、自分の気持ちが変わるのには十分な時間だった。
飴はないけれど、この気持ちを打ち明けてしまおうか?
そんな考えが頭の中を駆け巡る。
「じゃあ、今からお前は俺のものだからーー」
そう言った拓海は、あっという間に手にした飴玉を口に入れた。
「あっ......」
ーー食べさせるんじゃなくて、自分で食べた!?
どういうこと?
ひとつしか無いのに、なんてことを......。
「凛は、初めから俺に恋する運命だから」
“恋する運命”?どういうことだ?
でも、それって私の気持ちが伝わるチャンスなんじゃ......。
だけどーー。
「は、はぁ?意味わかんないしっ」
私の口から出たのは、素直になれない、強がりな言葉。
ここで素直に伝えられたら良かったのに、自分からチャンスを潰してしまったーー。
落ち込んで、分かりやすく下を向いてしまう。