その恋は、ドミノ倒しに
彼女は、先輩に恋をして。

付き合って、浮気されて。

そのまま……死んでしまった。

自殺ではない。

ただ、涙で滲んだ視界のせいで、周りがよく見えていなくて、運悪くトラックに突っ込まれたのだ。



「私ね。ミノルくんに感謝してるよ。」

「何度も、聞いたよ」



日がのぼる頃には、彼女は消えてしまうだろう。

君の存在なんて、今はもう、酸素なんかよりもずっと薄くて。

溶けきってしまえば、もうわからない。

涙で視界が歪みそうになる。

……あの時の彼女の視界も、こんな感じだったんだろうか。

早くいなくなってくれ。

いや、行かないで。

好きだ。

愛してる。

君を抱きすくめて、ずっと一緒にいたかった。

君への気持ちが溢れ出して、おかしくなりそうだ。
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