甘えてくるのは裏の私に
私の高校生活は、普通。

と、言いたいところだけど…
実際、高校生活は普通なのかもしれない。
でも、私の1日は多忙だ。

私、新野燕は、今芸能界で活躍している白音璃桜なのだ。

学校では、みんなに気づかれないように、メガネ&髪の毛結ぶだけにして、目立たないよう、友達も作っていない。
友達とはしゃいでみたいとも思うけど、私がこの学校に来た、いや、来なければならなかったのには、理由がある。

それは、

この学校にいる漣彗月という後輩に、甘えられているから。そんな理由と思うかもしれないけど、私にとっては、あれは一大事だ。

・・・

あれは、1年前。

あの日は新作の服が変えて、ちょっと気が緩んでいた。

帰宅途中にメガネをとって、目を風に当てた。反対側から彼がきているとも知らずに。

ふっと前をみると、君が私の顔を覗き込んでいた。

「きゃあっ」

「あれ、新野さんじゃないですか?」

思わずギクリとしてしまう。

「奇遇ですね。もしかして白音璃桜に化けてるんですか?」

彼は笑いながら言う。よかった、バレてない。

「あー、そうそう、璃桜ちゃん好きで…」

「ふーん?」

あれ、信じてない。

「普通 ここまで再現するかなー?」

うっ、言われてみれば…

「どしたのー?」

これ、完全にからかってる。バレるのも時間の問題かも…

そう思って、彼に打ち明けた。

「あなたの言うことを1つ聞くので、このことはみんなには言わないでもらえますか。」

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