伝えたい。あなたに。〜番外編〜
『作物に水あげる前に、自分に水あげてよ。ジョウロ沢山買ってこようか。』


『ごめんなさい。』


扇風機の角度を調整しながら、


まったく。


と呆れる泰志を見て、もういい加減にしようと思うけれど、頭と体が連動しない自分のポンコツ具合に、
落胆する。


『スイッチひとつで私に水をくれる、スプリンクラーがあればな。』


それを聞いて泰志は、少し離れた椅子に向かい合う
ように腰を下ろしてこう言った。


『そのスイッチは自分で見つけるんだ。』


どういうことだろうと思いながらも、いつもと違う
声色に身構える。


『ゆうか、もうこれ以上いくつクッションがあっても足りないよ。
どんなに包装しても何度も落としたんじゃ、物は割れる。』


私の頬にそっと触れられた手は、暑いにも関わらず
ひんやりしていた。


『うん。ちゃんと気をつけるね。』
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