伝えたい。あなたに。〜番外編〜
西陽が窓から差し込み、ジリジリと照りつける。
冷感タオルを水に濡らして、振り回しながら自室を
ぐるぐると歩き回る。こうすると空気が循環して涼しいのだ。


『何か怒ってるのかな。さすがに、呆れの境地に至ってしまったか。』


自分に問いかけるように呟く。いつもより口数が少なく、あまり目も合わせてくれなかった。


そうなるのも無理はないと感じながらも、何度も繰り返してきたこの失敗で泰志が怒ったことはなかったと振り返る。


けれど、それと同時にそんな優しさに甘えてきただけかもしれないとも思った。大人としての意識。
抽象的ではあるけれど、大人にならなきゃいけない。


問題を自分で解決できる能力。
解決のために必要なSOSを出すことも、そのひとつだ。


これまで、耳にタコができるほど言われてきたことは、結局こういうことだと思う。
意味もなく動かしていた脚の歩みを止める。


『自分で、、ね。』


上手いこと私のさじ加減は機能するだろうか。
それとも、感覚ではなくて数字で自分を管理するべきか。


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