伝えたい。あなたに。〜番外編〜
『もう離せなくなりそう。』
その言葉と同時に、ゆうかがじたばたと動き出す。
『いや、だめ。』
と火照った顔で必死に何かを訴えている。
『どうしたの?』
『だめ!今はだめ!』
3度目のだめ、で何がだめなのかを悟った。
一生懸命離れようと、もがいているのが面白くて、逃すまいと腕に力を込める。
すると、諦めたのかなすがまま身体を預けている。
ゆうかの少しばかり荒い呼吸と、心拍を感じながら、
『俺はちゃんと理性的だよ。もうゆうかは大人って言ってたじゃん。』
『いや、違う。違う違う。』
と抱きついたまま、首を横に振ってぎゅっと服を握っている。サラサラの髪にそっと触れてやると、さらに体に力が入るのがわかる。
『嘘だって、なんもしないよ。病み上がりなのに。』
『病み上がりじゃなかったらどうするの?』
そう言って、真っ直ぐな目でこちらを見つめてくる。
『どうしてほしいの?』
途端に動揺して、目を泳がせる。
少し考えて、
『泰志のものになる。』