伝えたい。あなたに。〜番外編〜
次に気づくと、そこは先日と全く同じ場所だった。
(あ、またやらかした、、)
恐る恐るカーテンから顔を出すと、又しても誰もいない。
もしかしたら、どこかに泰志がいるのではないかと、
様子を伺いながら、行ったり来たりと歩く。
『ちょっと、何してるの?』
『あ、すみません。誰もいなかったので。』
堂々と分かりやすいため息をつくと、
『勝手に動き回らないで!遊び場じゃないのよ!』
『はい、ごめんなさい。』
突然の大声に体を小さくする。
『ちょっとー、病院ですよ。
ゆうかちゃん、もう大丈夫?』
そう言いながら現れたのは、北見先生だった。
『はい、大丈夫です。』
居心地が悪くて、待合室に戻るとニコニコした北見先生が後ろからついてきた。
『ゆうかちゃん、ついておいで、山瀬先生待ってるんでしょ?』
『はい!』
案内されたのは、ひき戸の前に"北見 晋" と書かれた診察室だった。どうぞ、と言われて開けると、ベッドに横たわる泰志の姿があった。