伝えたい。あなたに。〜番外編〜





"いらっしゃいませ"


店に入って早々、その声に足が止まる。


『どうしたの?』


『いや、この声、、』


『いらっしゃいませ〜、お、来た来た。』


"お母さーん、来たよ。会いたがってた人。"


店の奥に向かって大きな声で伝える。
どうぞ、と案内されるけれど、状況を飲み込めない。
席に座ると、泰志がメニュー表を渡して来る。


『いやいや、どういうこと?お母さんってことは、ここはみきの家?広瀬先生の家?』


おしぼりやお茶を用意しているみきに質問をぶつける。


『そう。広瀬家は薬膳料理の店。なかなか予約取れないのに、無理やり入れたんだからね、感謝してよ。』


そんなすごいお店だったのか、と店内を見まわす。


『何その失礼な反応、ここでご飯を食べた人は、みんな元気でるって有名なのよ。』


そうそう、とでも言うように、みきの話を聞きながら、泰志がうなずいている。


『ご注文は?』


『僕はいつもので、彼女は、食あたりでお腹を壊してるので、それにいいやつを。』


"かしこまりました"

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