伝えたい。あなたに。〜番外編〜
"ただいま"
"ただいま"
誰も待っていなくても、ただいまと言うのが、高島家の習慣だった。それに習っていつしか泰志も言うようになった。
『ゆうか。』
後ろから呼ばれて、振り返ると同時に目の前が真っ暗になって、泰志の香りに包まれる。
『どうしたの。』
こもった声で答えた。
でも、それに対する反応はいつまでもなくて。
(こんなに長く抱きしめられたの初めて。)
一瞬離れて前髪をかき分けると、額に唇がそっと触れる。どうしたら良いのかわからなくて、体が固まってしまう。
『泰志、、、』
『これを待ってたんでしょ?』