君との想い出が風に乗って消えても(長編)
花咲さんが僕の隣を歩いているだけでこんなにもドキドキしていたら、教室に戻って席に着いたときは一体どうするのだと思った。
花咲さんは僕の隣の席なのだから、このままではずっとドキドキし続けることになってしまう。
ずっとドキドキが治まらなかったら体に良くないのではと思った。
* * *
3時間目。
体育の授業。
「草野~」
男子たちが僕の名前を呼んでいる。
なにやら男子たちの声のトーンがおかしい。
……何か嫌な予感がする。
「え?」
僕は恐る恐る男子たちの方を見た。
すると男子数人が僕の方を見ていた。
そして僕の方に近づいてきた。
男子たちが僕に近づいてくる雰囲気があまりにも威圧感があったので、僕は後ずさりをしてしまった。
僕が後ずさりをしたら、数人の男子の中の二人が僕に「逃げるな」と言って、二人それぞれが僕の腕を片方ずつガシッとつかんだ。
男子二人に腕をつかまれたせいで、僕は全く身動きが取れなくなってしまった。