君との想い出が風に乗って消えても(長編)
ダメだ……全く会話が出てこない……。
さっきまでは、あれだけ会話が出てきたのに……。
どうしよう……どうしよう……。
このままでは……。
ダメだ……ダメだ……。
僕は心の中で自分に言い聞かせているのに……。
なのに……。
「優くん? どうしたの?」
僕は……。
「優くん?」
僕は加恋ちゃんのことを……。
「……優くん……」
僕は加恋ちゃんのことを抱きしめた……。
「加恋ちゃん……」
「優くん……?」
「僕……加恋ちゃんのことを……」
僕は加恋ちゃんのことを抱きしめてそのまま……。
「……優くん……」
「……ごめん……加恋ちゃん……僕……」
僕の心の制御が破壊寸前になっていた。