君との想い出が風に乗って消えても(長編)
「……怖いの……」
……加恋ちゃん……?
「……怖い……?」
「わたし、優くんのことが好き、すごくすごく好き。初めて優くんに出会ったときから日に日に想いが募っていくのがはっきりわかるの」
「それなら僕も同じだよ。僕も加恋ちゃんのことが好き。すごくすごく好き。初めて加恋ちゃんに出会ったときから日に日に想いが募っていくのがはっきりわかる」
それなのにどうして『怖い』……の……?
「今、この瞬間が幸せ。そしてその幸せが明日も明後日もずっとずっと続いてほしい、そう思うの」
「続くよ。続くに決まってるよ」
それなのに……。
「わたしもそう思いたいよ。この幸せがずっとずっと続いてくれるって、そう信じたいよ」
「信じればいいじゃない。なんでそんなにも……」
「今、この瞬間がとても幸せなの。だからこれ以上、幸せになったら……」
……加恋ちゃん……?
「これ以上、幸せになったら……?」
「この幸せが消えてしまったときに、すごく辛くなってしまうから……」
え……?
消えてしまったときに……?
なんでそんなこと思うの……?