君との想い出が風に乗って消えても(長編)



 僕が身動きが取れなくなったところに、腕をつかんでいない残りの男子たちが僕に急接近してきて険しい顔つきで僕の顔をジッと見た。


 僕は『一体何なの⁉』と思ってそれを声に出したかったけど、険しい顔つきで僕の顔を見てくる男子たちの威圧感がすごくて僕は全く声を出すことができなかった。


 なんで今日の男子たちはこんなにも僕に絡んでくるのだろうと思ったけど、すぐに心当たりがあることに気付いた。


 もしかして男子たちが僕に絡んでくる理由って……。


「さっき花咲と何話してたんだよ」


 やっぱりそういうことか。


「さっき……って……?」


 僕は、さっきとは何のことか、わからないふりをした。


「草野が先生に頼まれてノートを職員室まで持って行ったときのことだよ。草野がノートを運んで教室を出たとき、花咲も慌てて教室を出ていった。そのとき花咲は、お前のことを追いかけていったんだろ」


 その通り。

 男子たちの言ったことは見事に当たっている。


 そして男子たちがなぜ今のタイミングにこんな話をしてきたのかはわかっている。


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