君との想い出が風に乗って消えても(長編)
* * *
授業が終わって部活の時間。
僕は昼休みのあの出来事が頭から離れずにいた。
頭から離れなかったせいで僕はモヤモヤした気持ちで作業をしていた。
「どうしたの?」
僕の様子が表に出ていたのか、加恋ちゃんがそう訊いた。
「なんでもないよ」
僕は加恋ちゃんに噓をついた。
「本当? なんか疲れてるみたいだから」
加恋ちゃんは僕のことを心配してくれていた。
「本当に大丈夫だよ、ありがとう」
僕は加恋ちゃんのその気持ちは嬉しかった。
部活が終わって後片付けをしているところ。
そして僕は片付けた物を倉庫に返しに行くところ。
確か加恋ちゃんも倉庫に行ったはず。
そして倉庫に着き、中に入ったら加恋ちゃんがいた。
「加恋ちゃん」
「優くん」
「僕も返しに来た」
僕は片付けて持ってきた物を加恋ちゃんに見せた。
加恋ちゃんは笑顔だった。
……笑顔……。
僕は、また昼休みのことを思い出してしまった。
昼休みのときに他の男子たちと笑顔で話していた、加恋ちゃん。