君との想い出が風に乗って消えても(長編)



 一週間後。



 昼休みになって男子たちは、また加恋ちゃんに馴れ馴れしく話しかけていた。


 加恋ちゃんは僕のことを気遣って男子たちと話すときもほとんど笑顔を見せなかった。


 すると、今までの加恋ちゃんとは違うことに気付いた男子たちが加恋ちゃんに「今日はどうしたの? 体調でも悪い?」とか訊いている。

 加恋ちゃんは男子たちの質問に対して少し困っている様子だった。


 加恋ちゃんは優しいから他の男子たちにも冷たい態度をとることはできない。

 でも、僕との約束も守ろうとしてくれている。

 そんな加恋ちゃんを見ていると気の毒にもなってくる。


 僕はとても迷っていた。


 他の男子たちに僕と加恋ちゃんは恋人同士だということを言うべきなのか、それともこのまま黙っておいた方がいいのか。


 でも、このままでは加恋ちゃんが僕と他の男子たちとの板挟みになってしまう。


 どうしよう……一体どうしたらいいのか……。


 僕はとても悩んでいた。


 僕と加恋ちゃんが恋人同士ということはみんなに言いたい。

 でもその勇気がない。

 でも僕と加恋ちゃんが恋人同士だと言わなければ、ずっと加恋ちゃんが苦しむことになる。


 どうしよう……どうしよう……。


 そう思っていたそのとき……。


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