君との想い出が風に乗って消えても(長編)



「……花咲……さっきはごめん……。軽々しく……あんなこと……をして……」


 その男子が加恋ちゃんに謝った後、僕は加恋ちゃんの方を見た。


 すると加恋ちゃんも僕の方を見ていた。


 僕は加恋ちゃんに『大丈夫だよ』という気持ちでやさしく微笑んだ。


 すると加恋ちゃんは見ている方向を僕から加恋ちゃんに謝っている男子の方に向いた。


 そして加恋ちゃんは……。


「……気にしないで……」


 加恋ちゃんは、加恋ちゃんに謝っている男子にそう言った。


「……ありがとう、花咲。本当に悪かった」


「……いいよ……」


 加恋ちゃんのその言葉に、その男子は少し安心したように僕と加恋ちゃんのもとから立ち去った。



 * * *



 放課後。



 部活も終わって、その帰り道。


 僕と加恋ちゃんはいつものように一緒に帰っていた。


 そのときの僕と加恋ちゃんの会話は、来週の野外合宿のことだった。


「加恋ちゃん、来週だね、野外合宿」


「うん」


「準備、進んでる?」


「もうちょとかな」


「そっかぁ」


 僕もあと少しで準備が終わる。


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