君との想い出が風に乗って消えても(長編)



 野外合宿当日。



 僕は、夜になるのが待ち遠しかったからか、日中はなかなか時間が過ぎないように感じた。



 そして待ちに待った夜が来た。


 寝る時間になり、みんな布団の中に入った。


 ……けど、予想通り。

 みんなそのままおとなしく眠りにつくわけがない。

 布団の中に入りながら、みんなで囲んでトークが始まった。

 そして話の内容は……。


「なあなあ、草野。お前、花咲とどこまでいってるんだよ」


 話が僕と加恋ちゃんのことに集中した。


「……え……?」


「『え?』ってとぼけるなよ」


 ニヤニヤしながら訊く男子たち。


「……どこまで……って……別に……」


 男子たちの質問に困る、僕。


「もうチューはしたのか?」


 さらに訊いてくる男子たち。


「……えっ……」


 ますます困る、僕。


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