君との想い出が風に乗って消えても(長編)



「ねぇ、く・さ・の・く・ん♡ お・し・え・て・よっ♡」


 男子の一人がそう言うと、僕の耳元にフッと息をかけた。


「ちょ……ちょっと、何やって……」


「な~に~、草野~、こんな感じで花咲のことを襲ってるのぉ~?」


 また別の男子の一人がそう言うと、僕が入っている布団のところに来て、僕の上に覆いかぶさってきた。


「ちょ……ちょっと何してるの⁉」


 一体何なの⁉ この男子たちは‼


「こんな感じで『加恋』って言って、それから……」


「ちょ……いい加減にしてよ‼」


 僕は、そう言って僕の上に覆いかぶさっていた男子のことをはねのけた。


「もぉ~、冗談だよぉ♡ 草野くんったら恥ずかしがり屋さんなんだから♡」


 何が『恥ずかしがり屋さん』だ‼



「なあなあ、なんか先生たちが来たみたいだぞ。早く寝たふりするぞ」


 一人の男子がそう言った。


 僕は助かったと思った。


 そしてみんな慌てて寝たふりをした。


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