君との想い出が風に乗って消えても(長編)



 ……さて。


 ここからが僕にとっての本番。


 今からこっそりと部屋を抜け出して見回り中の先生たちの隙をくぐり抜けて星空を見に行く。


 加恋ちゃんとは野外合宿に来る前にしっかりと打ち合わせをした。


 あとはそれを実行するだけ。


 僕は音を立てないように布団から出た。


 そして、ゆっくりとゆっくりと足音を立てないように扉の方へ向かう。


 そして扉の前に着き、音を立てないようにゆっくりと扉を開ける。

 扉を開けている途中、音が鳴りそうになったら、いったん扉を開けている手を止める。

 そして、またゆっくりと扉を開ける手を動かす。

 また扉を開けている途中に音が鳴りそうになったら、また扉を開けている手を止める。

 様子を見て大丈夫そうなら、またゆっくりと扉を開ける手を動かす。

 その繰り返し。


 そうしてようやく扉を開けて廊下に出ることができた、僕。


 廊下に出た僕は、見回りをしている先生たちの隙をくぐり抜けてやっと外に出ることができた。


< 134 / 261 >

この作品をシェア

pagetop