君との想い出が風に乗って消えても(長編)
* * *
そして夜が来た。
そろそろ寝る時間がきて、みんな布団の中に入る。
……だけど……。
僕は、たぶんそうなると思っていた。
案の定……。
「ねぇ~、く・さ・の・く・ん♡」
やっぱり。
夜中のときに僕と加恋ちゃんがいなくなったのを知った先生たちが、僕と加恋ちゃんのことを探し回って騒ぎになっていたから、そのことがクラスの生徒たちに知られてしまった。
「今日もまた加恋ちゃんとイチャイチャしに行くのぉ~♡」
男子たちの顔がニヤニヤしていた。
それも予想通り。
「な……何言ってるの‼ 別にイチャイチャなんかしてないよ‼」
「な~に~、そんなに照れなくてもいいじゃん♡」
「て……照れてなんかないよ‼」
そう言ったけど、その言葉とは裏腹に体中の血液が顔に集中しているかのように顔がとても熱くなった。
たぶん夜中のときの加恋ちゃんとのことを思い出したから……。
「あぁ~、草野くん、顔真っ赤♡ か~わい~い~♡」
「なっ……‼」
僕は、これ以上、言葉が出なかった。