君との想い出が風に乗って消えても(長編)



「なあなあ、先生たちが見回りしてるぞ。寝たふりしようぜ」


 一人の男子がそう言った。


 それを聞いた男子たちが慌てて布団の中に入り直した。


 少ししてから僕たちがいる部屋にも先生たちが見回りに来た。


 みんな見事なくらいの寝たふり。


 ……というより、また寝たふりをしているうちに本当に眠っているのかもしれない。


 そして先生たちが部屋を出ていった。


 先生たちが部屋を出ていってからも、みんな起きる気配はなかった。


 みんな寝静まった後も、僕は一人布団の中で思い出していた。


 夜中に加恋ちゃんと星を見に行ったこと。


 そして……。


 …………っ‼

 あぁぁ~‼ やっぱり恥ずかしいぃ~‼


 僕は恥ずかしさのあまり、布団の中にもぐり込んだ。


 でも、いくら布団の中にもぐり込んでも恥ずかしさは消えなかった。


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