君との想い出が風に乗って消えても(長編)





 * * *





 あっという間に帰る時間がきた。



 帰りのバス。

 多くの生徒が疲れて眠っていた。


 僕の隣の席に座っている友達も眠っている。

 僕が座っているのは窓際の席。

 窓際に座っている僕は、ぼーっと外を見ていた。


 ぼーっと外を見ながら僕は思い出していた。


 野外合宿……。

 夜中にみんなに内緒で加恋ちゃんと一緒に星を見に行ったこと。

 加恋ちゃんと見た星空がきれいで感動したこと。

 結局、先生たちにはバレちゃったけど、それでもやっぱり良い思い出。

 今のこの時間は、今しか体験できない貴重な時間。

 その時間を加恋ちゃんと過ごせることの幸せ。


 幸せを感じながら外を見ていた僕も、だんだん眠気が襲ってきた。

 そして僕が目を覚ましたときには学校に到着していた。


 全員バスを降りた後、先生たちと生徒たちは運動場に集まった。

 そして先生の話が済んだ後、全員、運動場で解散した。


 運動場で解散した後、すぐに僕と加恋ちゃんは顔を合わせた。


「加恋ちゃん、一緒に帰ろう」


「うん、帰ろう、優くん」


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