君との想い出が風に乗って消えても(長編)



「……かわいいよ……加恋ちゃん……」


 僕は加恋ちゃんの耳元で囁く。

 そして加恋ちゃんの耳にやさしくフッと息をかける。


「きゃっ……」


 加恋ちゃん、本当に可愛すぎ。


「そんなにかわいい声を出されたら止められない……」


 ……もう……溺れてる……。

 ……僕は……加恋ちゃんに溺れてる……。


 好きだ、加恋ちゃん。

 好きで好きでたまらない。


 僕は初めてだ。

 こんなにも人を好きになったのは。


「……好きだ……加恋ちゃん……」


「……わたしも好き……優くん……」


 加恋ちゃん……。


「ずっと一緒にいてほしい」


「…………」


 ……加恋ちゃん……?

 どうして無言になるの……?

 どうして「ずっと一緒にいてほしい」と言ったら無言になるの……?


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