君との想い出が風に乗って消えても(長編)



 僕は、こんな状態で、どのように教室に入ろうか迷っていた。


 それに……花咲さんがせっかくきれいな声で歌っているのに、いきなり僕が教室に入ったら花咲さんの美しい歌に水を差してしまいそうで……。


 それに何よりも僕が花咲さんの美し過ぎるほどの歌声を聴いていたい……そう思った。


 僕は花咲さんの歌声に聴き入っていた。


 そして僕は、このまま花咲さんが歌い終わるのを待とうと思った。



 ……あれ……?


 もう終わった……?


 あれから2・3分経っただろうか。


 花咲さんの歌が終わるまで待とうと思ってから、わりとすぐのことだった。


 歌い終えた、花咲さん。


 思ったより早く歌い終えたから僕は、どうしたらいいのかわからなかった。


 どうしたらいいのかわからないなりに考えた結果、このまま知らないふりをして教室に入ろうと、そう思ったとき……。


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