君との想い出が風に乗って消えても(長編)
こういうささやかな幸せな時間がいつまでも続いてほしい。
ずっとずっと続いてほしい。
…………。
続いてほしいけど……。
…………。
……続くだろうか……。
…………。
……‼
ダメだ‼ ダメだ‼ そんなことを考えては‼
大丈夫。
きっと続く。
きっとこの幸せは続く‼
「優くん?」
……‼
しまった……また僕は考え事をし過ぎて自分の世界に入り込んでしまった。
「ごめん、加恋ちゃん何だった?」
「優くんは何を飲むか決まった?」
そうだった。
今、僕と加恋ちゃんは何を飲むかメニューを見ていたんだった……。
「あ……ちょっと待ってね……。あっ、加恋ちゃんは何を飲むか決まった?」
「うん、オレンジジュースにしようかなと思って」
「そっかぁ……えっと、僕は……」
僕は慌ててメニューを見た。
……って、今までも見ていたつもりだったんだけど、違う世界に入り込んでいたから、いつの間にかメニューを見ていなかった。
そしてなんとか僕も何を飲むのかを決めた。
「僕、ココアにしようかな」
何を飲むのかを決めた僕と加恋ちゃんは、店員さんを呼んで注文を済ませた。