君との想い出が風に乗って消えても(長編)



 僕と加恋ちゃんの間に沈黙が続いて少し気まずくなっていたとき、店員さんが僕と加恋ちゃんが注文したココアとオレンジジュースを持ってきてくれた。

 そのおかげで僕と加恋ちゃんの間に流れていた緊張感という空気が少しだけ和らいだ。

 僕は店員さんのタイミングに感謝した。


 僕と加恋ちゃんは、それぞれが注文した飲み物を飲み始めた。


「あっ、このココアすごく美味しい」


 まずは僕が口を開いた。


 すると加恋ちゃんも……。


「このオレンジジュースもすごく美味しい」


 加恋ちゃんは少し笑顔が戻った。


 やっぱり。

 やっぱり加恋ちゃんの笑顔は最高だ。

 まだ完全に笑顔が戻ったわけではないけど、それでもやっぱり加恋ちゃんの笑顔は最強。


 加恋ちゃんの辛そうにしている顔を見るのは辛い。

 加恋ちゃんの悲しい顔を見るのは悲しい。


 加恋ちゃんにはいつも笑顔でいてほしい。

 加恋ちゃんにはいつも心から笑っていてほしい。


 それが僕にとって幸せなことだから。



 僕と加恋ちゃんは、飲み物を飲み始めてからは少しずつだけど会話が進むようになり、30分後には普通に話すことができていた。




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