君との想い出が風に乗って消えても(長編)



 そうして僕と加恋ちゃんは映画館へ向かった。


 電車で15分くらい。

 そして映画館の最寄り駅に着き、歩いて5分くらいのところに映画館はあった。


 僕と加恋ちゃんは映画館の中に入った。

 席は一番後ろ。

 一番後ろの席は僕のリクエスト。

 一番後ろの席の方が落ち着くし、それに……。

 ……って、別に変なことを考えているわけでは……。


 そして上映中。


 僕と加恋ちゃんはスクリーンをジッと見ていた。


 見ていたのだけど……。


 僕は加恋ちゃんのことが気になり、加恋ちゃんのことをチラッと見た。


 加恋ちゃんは真剣な表情でスクリーンの方を見ていた。


 その表情は、とても美しかった。


 僕はストーリーを見るよりも加恋ちゃんのことを見ていたいと思った。


 僕は加恋ちゃんの魅力に引き込まれた。


 そして加恋ちゃんの魅力に引き込まれた僕は、引き寄せられるように加恋ちゃんの手を握った。


 すると加恋ちゃんも僕の方を見た。

 僕の方を見た加恋ちゃんは笑顔になった。

 そして僕の手を握り返してくれた。


 手を握り合って映画を観た、僕と加恋ちゃん。

 そうして僕と加恋ちゃんは映画を観終えた。


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