君との想い出が風に乗って消えても(長編)
「続きから読んで」
……え……?
えっと……。
続きからって……どこから……?
加恋ちゃんのチョコレートのことを考えていたら、いつの間にか自分の世界に入り込んでいて、みんなが教科書を読んでいた声が聞こえていなかった。
ど……どうしよう……。
僕は、どうすればいいのか困っていた。
このまま正直にみんなが読んでいたのを聞いていなかったと言うべきなのか……。
そう思っていると……。
「先生、今日の草野くんは授業どころじゃないですよ。今日は花咲さんとの特別な日なんですから」
なっ……‼
一人の男子が先生にそんなことを言い出した。
一人の男子がそんなことを言い出したから、あっという間にクラス中がざわついた。
「特別な日?」
先生は、そう言って不思議そうな顔をしていた。
「ちょ……ちょっとやめてよ、そんなことをいうのは」
僕は慌ててその男子にそう言った。
「なんだよ~、本当のことだろ」
その男子はニヤニヤしながらそう言った。