君との想い出が風に乗って消えても(長編)



「……キスしたくなっちゃった」


「……優くん……」


「……ダメ……?」


「……まだチョコレートが……」


「……待てない」


 加恋ちゃんのことを困らせてしまう、僕。


「……優くん……」


 少しだけ困りながら僕にぎゅっと抱きついている、加恋ちゃん。


 困っている様子もかわいい。

 ぎゅっと抱きついているのもかわいい。

 加恋ちゃんのすべてがかわいい。


 僕は加恋ちゃんからやさしく少しだけ離れた。


 加恋ちゃんから少しだけ離れた僕は加恋ちゃんのことを見つめた。


 加恋ちゃんはチョコレートを食べながら恥ずかしそうに下を向いていた。


 加恋ちゃんのことを見つめていた僕は顔を傾けて加恋ちゃんの……。


「……え……?」


 少し驚いた表情をしていた、加恋ちゃん。


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