君との想い出が風に乗って消えても(長編)
……というか、僕自身、そんなに絶叫マシンが得意な方ではないから、どちらかというと僕の方がやさしい乗り物希望かも……。
「……じゃあ……まずはあの乗り物が乗りたい」
加恋ちゃんが指をさした乗り物は観覧車だった。
「うん、乗ろう、観覧車」
僕は加恋ちゃんの手をやさしくつないで観覧車の方へ向かった。
そして僕と加恋ちゃんは観覧車に乗った。
観覧車の中、僕と加恋ちゃんは並んで座った。
そのとき僕は加恋ちゃんの手をやさしく握った。
加恋ちゃんも僕の手をやさしく握り返してくれた。
僕の手をやさしく握り返してくれた加恋ちゃんは、僕の肩にやさしく身を寄せた。
僕も身を寄せている加恋ちゃんにやさしく身を寄せた。
静かに寄り添っている僕と加恋ちゃん。
僕は加恋ちゃんと寄り添いながら観覧車の窓から見える景色を見た。
観覧車の窓から見える絶景。
「加恋ちゃん、景色、きれいだね」
「うん、すごくきれい」
加恋ちゃんと一緒に見る景色。
それはより美しいものになる。